トキメキ求めて今日も行く










アスカ達が恐竜やで奇妙な同居生活を始めてから大分経った。辺りの地理も分かってきたので、アスカは一人で散歩にでていた…のだが。
「…恐竜やはどっちでしょうか…?」
いきなりだが、アスカは迷っていた。
辺りを見回すが、見覚えのあるものは全く無い。
ブレスで誰かに連絡をすれば済む事なのだが、頑にそうしようとはしない。迷惑を掛けたくないのだ。
「…多分、こっちですよね…」
勘を頼りに歩き出そうとしたアスカ。すると。

「何やってんだ、お前」

振り返ると、そこには何故か天敵・仲代壬琴の姿が。
キッ、キラー!!!?
慌てて構え、戦闘体勢になる。
「どうしてッ…!」
警戒心倍増で睨みつけるアスカ。しかし壬琴は呆れた様な口調で返す。
「何って、自分の家に帰って来たらいけないのか?




何 で す と ?





「人の家の前でうろうろしているお前の方がよっぽどおかしいと思うけどな」
「う゛…」
何処をどう歩いて来たのやら、アスカは壬琴の家の目の前にいたのだ。幸人が全権力を使っても見付けられなかった壬琴の家に辿り着いたアスカ、ここまで来れば方向音痴にもほどがある。
「目的は何にしろ、せっかく来たんだから入れよ」
「だっ誰がッ―――…」

キュルルルル。

「〜〜〜ッ!!」
「何だお前、腹減ってんのか?」
そういえばお昼ご飯食べてなかったなぁ…と思わず考えてしまった。
「そ、そんな、お腹減ってなんかッ…」
と言いつつも、体は正直で。

クルルル。

「…減ってんだろ」
「うぅ…」
次に散歩に行く時は絶対にお昼を食べてからだ―――そう心の中で誓いを立てているアスカ。
その表情のコロコロと変わる様子は、彼のトキメキを彷彿させる のに十分だった。
「別に今は戦う気はないぜ。昼飯でも食っていけよ」
そういえば駅前の店のプリンがあったな―――その瞬間、アスカの耳がピクッと反応した。
実は最近アスカがプリンにはまっているというのを、壬琴はリサーチ(ストーカー)済みだった。
「ぷ…プリン、ですか…?」
「あぁ、食べるか?」
食べたい、だが食べれば店に帰るのが遅くなる。そうすれば絶対幸人に怒られるだろう。
アスカの脳内に巡る、プリンと幸人(笑)。
そして。






「…食べ、ます」
Winner プリン!!!!
幸人、プリンに完全敗北。壬琴の目論みにまんまと引っかかってしまったアスカは、憐れ敵の寝城へと誘われたのだった。
















丁度その頃。
「………」
額に青筋を浮かべつつ、イライラと貧乏揺すりをする落ち着きのないカリスマ整体士・三条幸人。
「……どーぞ、横ちゃんさん」
カレーを客(と言っても常連)に叩き付けるような勢いで出しているインタープリター・伯亜凌駕。
「二人とも、何そんなイライラしてんのよ」
らんるが呆れたように言い放つ。まぁ、原因は分かっているのだが。
「そういやぁアの字は今日は休みかい?」
アの字。
つまりアスカ。


「「アスカ(さん)が何だ(ですって)?」」


怨念爆雷アバレッド殺気爆発アバレブルー(笑)に睨まれて、一気にすくみ上がる常連・横田。
いー加減にしてよッ!!!!そんなにアスカさんが心配なら探してくれば―――…!
らんるが怒鳴り終える前に、凌駕と幸人は姿を消していた。
「「………」」
顔を見合わせるらんると横田。恐竜やを寒い風が吹き抜けていた。
















「美味しい…」
ほぅ…と溜め息を洩らし、アスカは素直に感嘆した。
「本当に美味しいです〜」
昼飯を馳走になり(ヤツデンワニ製)すっかり敵だという事も忘れて 和みまくっているアスカ。現在、駅前のケーキ屋で一日限定50個というレアなプリンを頬張りながら笑っていた。
「お店によっていろんなプリンの味があるんですね〜」
と、ここまで来てようやく。
「…あぁ!!そうだ、そのブレスを外してください!!それは危険なんです!!」
今更か!!!!とツッコミたくなるのも判るが、アスカは真剣そのもの。
テーブルの向かいに座っていた壬琴は、いきなりの事態に思わず吹き出した。
「お、お前…面白ぇな。そのトロさ、気に入ったぜ」
「と、トロ…?」
アスカの脳裏によぎる、この前初めて食べた寿司の『トロ』(笑)。それが自分とどう関係しているのかがさっぱり判らない。
ひたすら考え込んでいると、不意に壬琴が口を開いた。
「じゃあ俺とゲームをしようぜ。お前が勝ったらブレスを外してやるよ」
「ほ、本当ですか!?」
勿論そんな気は全く無いが、アスカをからかうのも楽しそうだ。それだけの理由で言い出したのだった。
憐れアスカは壬琴の言葉を完全に信じ込み、やる気満々。
「ど、どんなゲームですか?」
他の人間を巻き込まないなら何でも―――そう言って、アスカは真剣な眼差しで壬琴を見つめた。
「そうだな…じゃあ今から残り半日『ご主人様』と呼んで貰おうか



ご主人様?



「…それだけ、ですか?」
その意味が判ってないアスカは、それだけで良いのかと驚く。しかしそれだけで終わる訳がない。
「あとはこいつを着てもらうか」
そう言って壬琴がどこぞから取り出したのは。


黒のスカート。

ヒラヒラのレース。

白いエプロン。

そしてレースに薔薇をあしらったヘッドドレス。



俗に言う『メイド服』



「…これ、女性の服なんじゃ…?」
流石のアスカでも、コレが自分の着るべきではない服だと判ったらしい。
「だからゲームだと言ったろ?その格好で俺に従ってみろ」
「……あぁ!」
ちょっと待て、納得すんな!!!
この世界の常識はアスカに通用しなかったらしい。というか知らないだろう。
世の中にはいろんな嗜好の持ち主が存在すると。
「ほら、さっさと着替えろ」
「本当に、約束は守ってくれますよね?」
「あぁ、守ってやるさ。ただし、一度でも『御主人様』と呼べなかったらアウトだけどな」

















「「アスカ(さん)〜〜〜〜ッ!!!!」」
大声で騒ぎ立てながら街中を失踪する不審な男二人。
「おい、そこのお前!!」
見知らぬ男の胸倉を掴んでいるカリスマ整体士(爆)。まぁこんな些細な犯行なら有り余る金で揉み消そう。
身長181cmスリーサイズは92・73・93靴のサイズは27.5の見かけたら思わず抱き締めたくなるような男を見なかったか!?」
「あと行動がめちゃんこ可愛くておどおどしてるんだけどそこがまた可愛いような人なんです!!!」
明らかにおかしい特徴だが、一方の胸倉を掴まれている人間はそんなことツッコんでる場合じゃない。
「さ…さっき…あっちに、白いコートの、人と…」

白いコート?


















「「アスカ(さん)ッ!!!!助けに来たぞ(ましたよ)!!!!」
ダイノガッツフル活用で見つけた仲代壬琴の家。扉を蹴破る勢いで突入すると、そこには。
「あ、幸人さん!凌駕さん!」



〜間(この間0.05秒)〜




なにかがおかしい。
アスカが着ているのは紛れも無いメイド服だ。しかもパーティグッズとして売っている超★ミニスカート。
中のパンツがサ●エさんのワカメちゃんよろしく見えそうな勢いだった。
「あ…アスカさん、それは…一体…」
「あ、コレですか?き…じゃなくて御主人様が用意してくださった服です」
よく見れば化粧もちゃんとしている。ぶっちゃけてらんるより可愛いんじゃないだろうか。
…って待て、御主人様!!!?
「な、な、な…御主人様って何だ!!!!
「え…と、あの…キラーで…ってあぁ!!!!!!」




言 っ ち ゃ っ た 。




「Game over」
颯爽と現れた変態嗜好・仲代壬琴。
「ゲームをしてやったんだよ。俺のブレスを賭けてな」
アスカは脱力したように、その場に座り込んだ。
「あぅぅ…言っちゃいましたぁ…」
瞳はウルウル、スカートの裾からはチラリズム。どうしてくれようホトトギス(知るか)。
「…アスカさん、ゲームって…何してたんです?」
すっかり泣きそうなアスカに、凌駕が問いかけた。
しかしアスカは遂に涙を零して嗚咽を洩らした。
「すッ…すみませっ…プリンと、幸人さんがッ…でも、プリン…」





支離滅裂。






「…俺とプリン?
これはいくらカリスマと呼ばれた男でも解読不能。それどころかゲームを仕掛けた壬琴にすら判らない。
「…仲代先生、何がプリンと三条さんなんですか?」
「…さぁ…な…;」
ともかくこいつを落ち着かせよう。初めて彼等が分かり合った瞬間だった。




泣いている子供を黙らせるのに、食べ物が効果的な場合がある。
子供ではないのだがアスカも例外ではない。
ヤツデンワニに命じて壬琴が用意させたアスカの好きだというバナナミルク。
「ほらアスカさんの好きなバナナミルクですよ〜♪」
こんな時に役に立ったのが子持ち男・凌駕。子供の扱いに関してはプロだ。
「…っ…」
少しは気持ちも治まったのか、アスカは瞳を少し輝かせながら恐る恐る手を伸ばした。












その時。

インタープリター&カリスマ&医者は見逃さなかった。











「んく…」










バナナミルクが口の端から零れてアスカの顎を伝い落ちる姿を。


















「…仲代先生、今日だけは貴方に感謝します…」

「…不本意だが、お前のトキメキとやらも捨てたもんじゃないな…」

既に鼻血ブーのこいつらに言われてもなにがなんやら。



















彼等のトキメく嗜好がほぼ同じだと判明した1日だった。























END














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こんなんじゃトキメけねぇよ!!!!とお叱りを受けそうなのですが…キリリクです。
斗崎様に捧げます…貰ってやってください…(アワアワ;)

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アズマさんのホムペで7500Hit自爆救済リクを募集していたので真っ先にリクした斗崎(笑)
そしたらばこんなナイスな小説が!!!あああ萌え―――!!!!
アズマさん、有り難う御座いました!!!!

2003/11/24