真司は悩んでいた。
今日の日付は2月11日。夜の10時を回ったところ。
そう、世の中のオンナノコが思いを込めて男性にチョコを渡し、
お菓子会社が争うようにチョコを売る、
俗に言う「聖バレンタインデー」なるものが近づいているのだ。
一応真司もオトコなので、チョコは欲しい。
おそらくOREジャーナルの女性陣と優衣ちゃん、
あとおばさんには、チョコが期待できるだろう。
・・・・・・義理なのはわかってはいるのだが。
そんなことを考えながら、目の前に広がるのは沢山のお菓子の本。
しかも全部チョコレート関連の本ばかり。
何故男であるはずの真司がお菓子の本を見ているかというと、
この聖なる日に、チョコをあげる相手が出来てしまったのだ。
その名も、秋山蓮。
「なんで俺、こんなことしてんだろ・・・・・・」
ちょっと切なくなってみたりする。
料理の研究、という名目で優衣に本を借りて、
もう1時間経ってしまった。
様々な菓子の名前が目の前を過ぎる。
クッキー、ショートブレッド、ブラウニー、ガナッシュ・・・・・・
基本的に、料理は得意なほうだと思っているが、
お菓子関連は意外と作った試しが無かった。
「ケーキとかなら店で出すから作ったことあるんだけどなー・・・」
いっそのこと、単純に型チョコ、とかも考えたのだが、
今回はなんだか違うものを作ってみたい、みたいな。
ぱらぱらとページをめくっている真司の目に、
あるチョコ菓子がとまった。
「これいいじゃん!・・・でも作ったこと無いしなー」
悩む真司に、ぽんとある考えが浮かんだ。
「トリュフの作り方を教えて欲しい、っすか?」
次の日、真司が助けを求めた場所は、北岡法律相談所。
お相手はもちろん料理の鉄人(笑)由良吾郎である。
ちなみに先生はただいま仕事で外出中、とのこと。
(北岡さんいなくて良かった〜・・・)
心の中で半ば本気で思ってみたり。
もし居たら、絶対にけなされていること間違いなしだったろう。
「俺お菓子とかあんま作ったこと無くてさー、
本読んでもなんかよくわかんねーし・・・」
そう訴えられ、吾郎は真司が誰にチョコを作ろうとしているかがわかった。
と言うより、彼がチョコを渡したい相手となると、
世界でただ1人しか思い浮かばなかった。
「・・・秋山さんに、っすか?」
首を指先で掻き、少し躊躇して真司は頷く。
「・・・駄目?やっぱ忙しい?」
「いいっすよ。城戸さんには餃子の恩もあるし」
途端にぱあっと明るい顔で手を取り、感謝する真司を招き、
まずは中の調理場へと移動することにした。
北岡邸で十分に吾郎のチョコレート基本指導を受けた真司は、
翌日に花鶏にてトリュフ作りに取り掛かった。
「よっしゃ!まずはガナッシュ作りからだな」
鍋にフレッシュクリームを入れ、泡立つくらいまで加熱。
それを刻んだチョコが入ったボールに加えて混ぜる。
温度がぬるいくらいになったらバターを入れる。
熱が取れたら、グランマルニエ酒。
これは花鶏に無かったので、吾郎にわけてもらった。
それと、バニラエッセンスを少々。
氷入りのボールの上にガナッシュのボールをのせ、
泡だて器でかき混ぜ。
コシが出たら絞り袋で絞り、一度冷蔵庫へ。
固まったら出して丸めなおして、もう一度冷蔵庫行き。
「ふぇ〜・・・疲れる」
ため息をつきながら、固まったガナッシュを取り出す。
テンパリングしたチョコに落として、コーティング。
バットに入れたココアパウダーの端に落として、フォークの背で転がしていく。
繰り返して表面がしわしわになってきたら、完成。
いくら練習したとはいえ、慣れない作業に肩を鳴らす真司の所に、
洗濯物を取り込んだ優衣がやってきた。
「すごーい!これ真司君が作ったの?」
「この光景見てわかって優衣ちゃん・・・」
ぐたっとテーブルに突っ伏す真司の周りは、
使用したボールやらなにやらで散乱中。
「ね、1個味見していい?片付け手伝うから」
「マジで!?」
おそらく片付けを手伝うというところに喜んだであろう真司の見つめる中、
無地の白い皿に盛られたトリュフを手に取り、口に運ぶ。
「・・・・・・どう?やっぱ不味い?」
不安そうに尋ねる真司に、咀嚼して飲み込んだ優衣がこたえる。
「美味しい!すごいよ真司君!初めてとは思えないよ!」
やっぱ真司君料理の才能あるよねー、と誉めてくれる優衣の言葉に、
安堵のため息を漏らす真司。
ふと時計を見ると、すでに作り始めて3時間が経過していた。
「げっ!?もうこんな時間じゃん!早く片付けて飯の用意しなきゃ!」
わたわたとテーブルの上を片す真司と一緒に片付けを始めた優衣は、
「ねえ真司君・・・どうせならもっと凝ってみない?」
そう言ってにっこりと笑った。
「はいコレ」
そう言って蓮の目の前に差し出されたのは、
小さめの長方形の箱。
青い包装紙でラッピングし、白と薄い銀色のリボンで結んである。
ベッドで読書をしていた蓮は、
ふと今日が14日であることを思い出した。
どうりで道を歩く女性たちがはしゃいでいたはずだ・・・と納得しながら、
ある疑問にぶち当たった。
「何でお前がチョコなんて作ったんだ?」
オトコだろ、と袈裟懸けに切り捨てられた。
「っ・・・別にいいだろ!バレンタインに男がプレゼント渡す国もあるんだぞ!」
「ほう、そんな正しい知識がお前にあったとはな。驚いた」
すかした笑いを浮かべる蓮に、真司は危うくキレそうになる。
「わかった!チョコいらないんだな!?ならいいよもう!」
足早に自分のベッドへ戻ろうとする真司の腕を、蓮が掴む。
「誰も食わないとは言ってない」
そう言い、強引に引っ張ると、真司を横に座らせる。
わかりにくいっつーの、と愚痴られながら箱の包装を解く。
「家で渡すんなら、包装は要らないんじゃないか?」
「俺もそう思ったんだけどさー、優衣ちゃんがしたほうがいいってゆーし」
せっかくラッピング用のリボンとか買ってきてくれたし?と言う真司を尻目に、
箱を開けると、丸いチョコが3つ。
指でつまんで中のトリュフを取り出す。
口に放り込み、指先についたココアパウダーを舐める。
そんな姿も様になってしまう蓮を見て、
かっこ良すぎてなんだかむかついた。
「・・・どう?一応味見はしてもらったんだけど」
「不味くはない」
蓮の言うそれは、イコール美味しいということ。
(相変わらず素直じゃねえ・・・)
蓮の性格に呆れる真司の唇に、トリュフが当てられた。
口を開き、トリュフを咀嚼する。
「俺が食ったら意味ねーんじゃねーの?」
そう言う真司の唇を、蓮の唇が塞ぐ。
お互いの舌を絡めると、チョコの味が一層広がっていく気がした。
蓮が最後の1個を口に入れ、そのまま真司を押し倒しながらキスをする。
真司の口内に、蓮の熱でとろりと溶けたチョコが流れ落ちる。
甘くて甘くて、眩暈がしそうだった。
END
バレンタインネタ・・・遂にやってしまった。
もう定番中の定番ですがな!
無駄にラヴいし。あいたー!痛いネ!
てか、優衣ちゃんは二人の関係を知っているのでしょうか・・・?
まあソコラ変は放置プレイ、ということで(何なんだ)
たまにはH無しもいいかなー、とか思ったんですが・・・。
どうでしょう?どうなんでしょう。アー甘さが足りないっすか・・・すみません(項垂れ)
ところで、私の題名センスの無さ、
どうにかならんでしょうか・・・(泣)
そのまんまじゃん!みたいな。
・・・・・・ほんとにどうしよう。修行足りないヨー。YO−。YEARー(壊)
完成日 2003/02/14 斗崎雷駿
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